2018年・年頭所感~生命安全確保の時代~

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平成30年、あけましておめでとうございます。
明治から数えて150年、終戦から73年という今年を迎える。今までの社会制度や価値観が音を立てて崩れていくと感じる。人・物・金が国という垣根を超え、自由に行き来するグローバルな世界観を更に続行させようとする勢力と、行き過ぎを見直そうとする勢力の葛藤。この事はアメリカの現在の社会情勢を見ると分かり易い。昨年の大統領選挙で多国籍企業や一部の大富裕層、又ウォール街の金融界そして大手メディアに推されたクリントン派と、米国民の中間層をまとめたトランプ派の非難の応酬は、内戦さながらだった。その波紋は世界中で見られ、欧州では難民問題やテロの続発、アラブ諸国では内戦や過激派の暗躍、アジアでは中国膨張路線の
台頭、北朝鮮のミサイル問題、原爆実験等、世界情勢は混沌としている。
 多くの情報が飛び交う中、更に分かり難くしているのは、大手メディアによる真偽の定かでないフェイクニュースにある。日本のメディアも只それを受け売りするだけで、曲解されている中身迄は報道しないので、正しく理解するのは容易ではない。本来大衆の為に正しい報道をする筈のメディアが実はそうでなく、捏造したり調整して報道しているとすれば厄介な時代である。過去のメディアの扇動によって大衆を戦争へ向かわせた歴史の事例を思い起こさせる。この様な大きな変動期には、報道を鵜呑みにするのでなく、そのニュースによって誰が喜び、誰が損するのかを鑑みる必要があるのではなかろうか。
 近頃、規制緩和とか構造改革という目新しい言葉が頻りに聞かれる。緩和・改革と言えば何か良い方向へ進むような響があるが、うっかりはしておれない。我が国は古来から洪水・地震・火山の噴火・津波等々、災害大国である。突然の天候不順や不慮の事態に備えて「種子」は各都道府県の管理の中で生産されている。即ち国民の財産として、種子法という法律に守られ、国の制度の中で守られて来た。適地適作に、例えばお米の場合、コシヒカリやササニシキ等、各地の銘柄で農家が作付生産される仕組みになっている。
 この分野へ入り込もうとする勢力があった。世界の遺伝子組み換え種子の9割以上のシェアを持つ巨大多国籍企業、モンサント社はじめ、アグリバイオ企業である。振り返ってみると、昨年の4月5月の国会は、森友学園、加計学園問題で紛糾し、新聞やテレビのニュース等はこの事で持切りであった。このどさくさに紛れてか、多くの法案が通過し、その中の一つに規制改革推進会議のメンバーの提案で、突然、種子法の廃止が決まった。そして農業競争支援法が成立した。この内容を要約すると「これ迄都道府県が蓄積して来た種子や苗の知見を民間業者に渡す事」となっている。民間業者といえば、モンサント社をはじめとするアグリバイオ企業である。これから将来にかけて民間の種子にじわじわと移行せざるを得なくなり20年、30年後になると遺伝子組み換え種子の蔓延を止められなくなるのは明白な事実である。日本の農業基盤を揺るがしかねない事態に進んでいると思えるのである。この事は、食の安全・安心を求める消費者にも大きな影響が及ぶことは必定である。
 生命の安全確保の時代到来。大手メディアの報道の裏に何が隠れているのかを良く見極める必要がある時代である。